「コンビニ人間/村田沙耶香」書評




2016年第155回芥川賞受賞作品

あらすじ

主人公の女性は「古倉恵子」。彼女の視点で物事が始まる。
彼女は、コンビニのバイト店員。

オフィス街に有る「スマイルマート日色町駅前店」が彼女の職場。彼女はオープニングスタッフとして働き始めて「18年」が経過していた。

彼女は闇を抱えている。それは、子供の頃から「ほかの人と違う」ということ。

「どうすれば『治る』のかしらね」母と父が相談している”

大人になっても、彼女は変わっていない。

そんな彼女でも「生きやすい」生き方がコンビニ店員だった。彼女はコンビニ人間に「生まれて」今も葛藤の中で生きている。

そんな中、「普通の人間」を演じきれず、「異物」になりかけた彼女は、ある途方もない選択をして周囲の人々を巻き込んで行く。

コンビニ人間とは

2016年第155回芥川賞作品「コンビニ人間」。

読み易く、あっという間に読了しました。161ページの短編小説で非常に面白い作品です。

作者の村田沙耶香さんは、テレビにも良く出られていらっしゃいますね。

やはりコンビニが大好きらしくテレビでもエピソードを語られていました、その思いがこの作品の描写にも満ち溢れています。

主人公の彼女にとって「普通の人間」を演じ易い「コンビニ店員」。様々な描写や比喩がすんなりと落ちてくるのは、身近な「コンビニ」という題材がそう思わせるのかもしれません。

協調性を求められたり、同調圧力を受けたりと、大なり小なりこの世の中には有る訳ですが、「普通の人間」を演じる彼女の視点に立ってその思考を楽しむのも、この作品の面白さの一つです。

物語の中には、同僚コンビニ店員で登場し、キーマンとも言える「白羽」と主人公「古倉」との掛け合いもテンポが良く、終盤のその流れに、読んでいる自分も巻き込まれていく感覚があまり経験できないものでした。

読了した今、もう一度、じっくり読んで見たいと思っています。

ぜひオススメしたい作品です。